ことです。
時間についての本『限りある時間の使い方』オリバー・バークマン著の紹介をしました。
(過去記事①・②・③)
はじめて本について記事を書いてみようと思い、ちょうど時間管理に悩んでいたことから、この本を選びました。
この本を読んだのは、実は2回目です。これまでの「いかに時間をコントロールするか」という考えをバッサリと切り捨てる内容だったので、1回目は正直読みにくいと感じていました。
でも、読みにくいということは、私の考えが著者のいうように産業革命後の「仕事こそが人の存在意義」という考えに染まっている、ということ。
なので時間をおいてまた読もうと思っていました。
2回目に読んだ時は、1回目では気付かなかった自分の偏りを感じることができて、書いてある内容は不快な事実ではなく希望なんだ、と思うようになりました。
人生は短いと知ったから、退職を決断できた
1回目に読んだのは、まだ前職の仕事をしていた時です。
「時間がない、時間を上手に使えない」という悩みを解決したいと思い読みましたが、内容は「時間をコントロールできる、というのは幻想だ」というもの。
時間をコントロールするための具体的な手法を知りたかったのに、書いてある内容は「時間はコントロールできない」と書いてあり、がっかりしました。
また「自分は限られた時間である」「時間の有限性こそが、人間というものを成立させる絶対的な条件」というような抽象的な話も多く、読みにくいと感じていました。
けれどこの本を読んだことで、「自分が80歳まで生きるとして、4,000週間のうち、あと何週間、どう生きるんだろう」という自分への問いかけを無意識にしていたように思います。
そしてふと、今のような働き方を続けた場合、あと何週間、こんな時間を過ごすのだろうと考えた時に「自分の時間を、他のことに使いたい」という強い欲求が生まれました。
当時、仕事と家庭で精一杯だったので自分の気持ちを感じる余裕もない日々を送っていました。
そんな時に、久しぶりに感じた自分の強烈な欲求。
ここで行動しないと、10年後に後悔する確信がありました。
なので、わがままな行動と思いましたが、自分のためだけに時間を使う資金をすでに確保している事実に気づいたら、止められませんでした。
強烈な時間への幻想に、振り回されないために
退職して自分の時間を確保しても、今度はその時間を無駄に過ごしているのでは、という焦燥感を感じていました。
そのために、時間割による時間管理をしていましたが、体調不良で予定通りに過ごせないと焦燥感と後ろめたさを感じるようになり、何かが間違っていると思い、再度この本を手に取りました。
すると、1回目には私の中に入ってこなかった言葉を受け取ることができ、「時間はコントロールできない」という事実の不快さに耐えながら読んでいくと、ふと気持ちが軽くなりました。
・時間管理が有効なのは、大切なことを選んだ後。
・大切なことは、少ししか選べない。優先度「大」の中から大切なことを選び、その他は捨てる覚悟を持たなければならない。
・選ばなかった方の選択肢のことを考えている時間はない。「妥協」して選択しなければ、最大限努力することもできない。
・注意力は人生そのもの。SNSに注意力を奪われてはならない。
・時間が有限であるという不快な現実から目をそらしたいという欲求が、デジタルデトックスできない原因。だから、不快をそのまま受け入れよう。
・余暇を「無駄に」過ごすことこそ、余暇を無駄にしないための唯一の方法であり、人としての責任。社会的に何も生産しない平凡な趣味を持とう。
・叶うわけのない希望を捨て、やることをやろう。
時間を「コントロールしたい」「そうすれば、うまくいくはず」という思考が強烈すぎて、自分を苦しめていると実感しています。
「時間をコントロールしたい」という思考に私は今後何度も囚われることになると思いますが、その時はまた、「それは強烈な幻想だ」ということをこの本から、学びたいと思います。
まとめ:人生には「今」しか存在しない
私たちは「いつか」のありもしない未来でなく「今」しか生きることができません。
なのに、「いつか」出世するため、「いつか」楽しい老後を過ごすため、「今」を犠牲にしている人が、私を含め多いと感じます。
そうやって「今」を犠牲にすることで、私たちの人生は「いつか」幸せになるのでしょうか。
いつまで生きるかわからないのに。
だから、
時間が有限であるということ、
私たちは何もかもをできないという不快な事実と、
不快さから目を背けたいという欲求を受け入れて、
やることを妥協して選び、
やるしかない。
そして、余暇は思いっきり無駄に過ごさなければならない。
明日死ぬかもしれないのに、できもしないことを夢見るのは違うんじゃないかと思えるようになり、余計な肩の力が抜けたように思います。
ここまで読んで興味を持っていただいた方、「もっと具体的な対策が知りたい」と思った方は、ぜひ実際に本を手に取っていただきたいと思います。
こちらでご紹介できなかった印象的なお話もたくさんありますので、ぜひご自身にとって時間との付き合い方を考えるきっかけにしていただけると嬉しいです。
人生はもっと楽しく、もっとリアルで、もっと意味があるはずだ。世界はもっと美しいはずだ。子どもながらに、そう思った。月曜日が嫌いで、週末や祝日を待ちわびるなんてまちがっている。おしっこをさせてもらうために手をあげなければならないなんてまちがっている。よく晴れた日に、毎日毎日、室内に閉じ込められるなんて何かがおかしい。
『限りある時間の使い方』オリバー・バークマン
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