30代で正社員を辞めて一年。内省で“自分がわからない”に取り組んだ記録(前編)

こころ

自分のことなのに、よくわからない
そんな感覚を抱いたことはありますか?

私は30代半ばで、10年以上続けた正社員の仕事を辞めました。
働き方に限界を感じて、自分を見つめ直すために選んだ退職
けれど、そこで得た「自由な時間」を、うまく使えない自分に戸惑い、焦り、罪悪感を覚えるようになりました。

当時の私は自分の体調も感情もわからない状態でした。
そんな自分を見つめ直して「これから私がしたいこと」を見つけるために、まずは自分を「知る」ことから始めました。
手帳やノートを使っての観察・内省・改善の日々です。
ジャーナリング、モーニングページ、バレットジャーナル、グルノート、振り返りノート習慣等の本を頼りに、ひたすら実験のような毎日を送ってきました。
そうしてやっと見つけた自分の輪郭
ずっと知りたかった自分の価値観、軸、思考パターン、感情を少しずつ集めて、「自分の輪郭」を取り戻そうと試行錯誤しました。

もし「自分のことが、よくわからない」と悩んでいる方がいたら、この半年の取り組みが何かの参考になるかもしれません。

春:一瞬の高揚と、回復も挑戦もできない自分への焦り

退職してすぐの頃、余裕を持って自分の思うとおりに過ごせる時間があることが、幸せでした。
いつでもスーパーに行くことができ、料理に時間をかけられる。(煮込み料理もできる)
いつでもカフェに行って、ゆっくり過ごすことができる。
いつでも本を読める。
いつでも横になって休むことができる。
お昼には冷めたお弁当ではなく、あたたかい食事ができる。(納豆、キムチだって食べられる)

これらは休日にしかできないことだったので、自分ひとりの時間が必要な私には、まさにご褒美そのもののような時間を過ごせる喜びに浸っていました。

このご褒美のような時間は、長くは続きませんでした。
時間を贅沢に使うことに徐々に焦りを覚えてきたのです。
自分の人生を見直すために退職したのに、ぼんやりと過ごすだけの日を繰り返すだけで、例えば「私はこれから、WEBデザイナーになりたい」というような具体的な目標を見つけられないのです。
時間が手のひらから零れ落ちていくような感覚に、歯がゆさと罪悪感を感じました。

自分の感情を感じられないことに危機感を覚えて退職したのに、「これからしたいこと」を考えるために必要な感情が、わからないのです。
在宅で働くことだけは一旦決めましたが、では在宅で何を「やりたい」のか、「やりたくない」のか、わかりません。
簿記をすればいいのか、プログラミングをすればいいのか、WEBデザインをすればいいのか、何に心が動くのか、わかりません。

では、「働く」に限定せずに自分が何をすると喜ぶのか、楽しいのか、夢中になれるのか、悲しいのか、苦手なのか、それすらも自分のことなのにわからないのです。
ただ、今のように過ごしていてはせっかく得た時間を無駄にしてしまう。
人生の指針となる感情はわからないのに、焦燥感だけが日に日に大きくなりました。

なので、当初は「余裕を持てて嬉しい」と思っていた家事についても、「働いていたころに30分でできていたのに、今は1時間以上かかっていて、効率が落ちている」と、家事を負担に感じるように。
いつでも休めるし、そのうち回復するだろうと思っていた身体の疲れも全く取れず、月に一度、1週間寝込んでしまって、体調の回復の兆しが見えないことに不安になる。
時間を有効に使えない自分はダメだ、自分の感情を取り戻せない自分はおかしいんじゃないか、と自責を繰り返していました

こと
こと

(今の視点で考えると)
本当に、どうしようもないほどに疲れていただけなのです。
一般に「一か月休めば回復する」と言われる状態でも回復しないほどに、ただただ疲れていたのです。
休むことに後ろめたさがあって、休んだつもりでも実は休めていなかったこと。
自分の身体もメンタルもボロボロなのに「〇〇しないとダメだ」と退職後も“べき思考”“完璧思考”からくる自責を繰り返していること。
それらに気付いた春でした。

ちなみに、メンタルが落ちている時は判断力が低下しているので、SNSを長時間見てしまい気持ち悪くなる(めまい、吐き気等)ことも、この時実感しました。

夏:時間と感情を取り戻すため、バーチカル手帳で時間割と感情ログを開始

バーチカル手帳をご存じでしょうか。

バーチカル手帳とは、一週間見開きで横軸に日付、縦軸に時間が記載してある手帳で、1日~1週間の時間をどう使うかがわかりやすく視覚化できる手帳のことです。
その手帳を使って、自分の手に取り戻したいと思っていた「時間」と「感情」について3つの軸で記録し始めました。

バーチカル手帳に記録した3つの軸
・1つ目の軸:何をするかの「予定
・2つ目の軸:実際にした「行動
・3つ目の軸:その時の「感情

1つめの軸である「予定」については、毎日の出勤が一日のリズムを作っていたと実感していたので、一日を90分毎の時間割に分けて予定考える取り組みをしました。(時間割については、過去記事参照
90分(25分+5分休憩の3セット)を午前2コマ、午後2コマ設定して、とにかくトライ&エラーで自分の時間の使い方から、心地の良いリズムを探しました。
「頭を使う作業は朝が良い」、「昼食後は20分程度の昼寝をするといい」、「睡眠時間は7時間以上」等、本に書いてあればそれも組み込んで試してみました。

2つ目の軸である「行動」については、1時間毎の行動記録を付けました。
単なる「事実」を記載したのです。
そうしていくうちに、同じ時間割でも予定通りできる日もあれば、疲れすぎて休んでしまう日(時には1週間寝込んでしまい、何もできない週)があることに気が付きました。

体調の波があるのはなぜなのか。自分の意志力が弱いことが原因ではないか、と責めていましたが、記録を付けていたおかげで「“できてない”と思っていたけれど、実際には“できている”時もあるじゃないか」とプラスの方向に目を向けられるようになりました。
記録がなければ“できていない”という自分の自責感情に引っ張られてしまうところを、記録という「事実」を使って振り返ることで「あれ、私ってネガティブにばっかり目を向けている。バランス悪くない?」と自分の思考の偏りに気付くようになりました。

3つ目の軸である「感情」については、2つ目の軸である「実際にした行動」の横に、その時に感じていた感情を記載するものです。(感情ログについては、過去記事参照
最初は何を感じているのか言葉で表現することができなかったので、記号から始めました。

感情ログに記載した記号(感情が表現できれば、その横に「嬉しい」等記載)
・ポジティブ感情なら「〇」
・ネガティブ感情なら「
・フラットなら「ー」

「できていない自分はダメだ」と自責ばかり感じていると思っていたのですが、よく見ると「〇とー」の時間が多いのです。逆に「△」があるのは、予定していたことができなかったとき。
さらに手帳を観察していると、「△」になるのは基本的に天気が悪い時(例えば、急激な低気圧に意識が遠のく感覚)、生理の時、寝不足の時でした。
ネガティブ感情は「体調が悪い日」に連動していたのです。
(また、面倒だと思っていたスーパーへの買い物やジム等の行動がきっかけで、落ちていた感情が上がることも発見しました。運動嫌いを自認していた私には、驚きの発見でした。)

当たり前のことですが、体調が「行動と感情」に影響していたのです。
そんなことにも気づかないほど体調を軽視して、ひたすら意志力でなんとかしようとしていた自分を改めて認識しました。
体調が悪いことの方が多かったので、それを理由にすることは「甘え」と考えていました。)

意志力に頼る働き方に限界を感じて退職したのに、その癖が抜けずに意志力に頼っては行動できない自分に対し、自責を繰り返していたのです。

こと
こと

(今の視点で考えると)
自責の癖はとても強く、一度気付いただけでは抜けません。
何度も何度も繰り返し出てくる自責の癖。
その時はわからなくとも、手帳で振り返ることで、後から気付く
正直、うんざりするほどに自責を見つけては、自覚する作業を繰り返していた夏でした。

こうして、“自分の時間”と“自分の感情”に向き合った夏。
振り返りを続けることで、自責の癖とそれに飲まれても自覚するスキルを身に着けていきました。
そして自分の輪郭がおぼろげながら見えてくるようになりました。
次回の後編では、「秋~冬」にかけて深めた内省と、そもそも自分の体調と感情がわからなくなっていた理由への気付きについて綴ります。

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